髪の強度について

2015年6月19日

紫ボール 簡単にだけですが、物理的性質(硬度・強度)・化学的性質 紫ボール

数年前は「無免許美容師でも良い!」という消費者もいらしたようでしたが、髪を健康なまま保ちたいといわれる方には、もう少し髪の性質をご理解頂いた方が良いでしょう。前にも述べましたが髪の成分はケラチンで化学的にも物理的にも非常に丈夫な性質を持ったタンパク質からできています。中国では漢の時代(2~3世紀頃)のミイラにも毛髪が残っていますし、我が国でも京都の本願寺の毛綱はあまりにも有名です。
物理的性質・酸やアルカリの関係/ 形態的に見て/ 構造的に見て/ 結合/ を説明します。


紫ボール物理的性質・酸やアルカリの関係 
 前の項目で髪の太さについても紹介しましたが、大体、直径0.08mmでひっぱり強度150~200gあると言われます。ですから、上記の毛綱でなんと22トンもの物を引く事ができた計算になります。また、出始めた白髪を気にし、抜く時に必要な力を固着力と言いますが、日本人の平均50~80gと言われますので切れる前に抜けるという事になります。せっけんでのご質問の項目でも少し、紹介しましたが、上記の力が最大(丈夫な状態)に働く状態を等電点といいますが、PH4.1~4.7とかなり酸性になっています。アルカリに対しては弱くPH8.0くらいから軟化しPH10.0前後から膨潤しPH13で溶解し始めます。最近はTV・CMでもせっけんが改良され、中性というものもでてるようですが、せっけん水(PH10~10.5)は痛め易くなります。また、詳しくはしろさかさんが「日本の理美容検索」で紹介して頂けてますのでそちらもどうぞ。

紫ボール形態的に見て
 毛幹の構造図  一般的に呼ばれる髪を毛幹といいますが、まるで中身の少ない<海苔巻>のようでしょ!(^_^)
海苔に相当するのが、毛小皮(キューティクル)、ご飯の部分が毛皮質(コルテックス)、かんぴょうの部分が毛髄質(メデュラ)と呼ばれます。
キューティクルは硬い鱗状のものが重なりあってできています。重なり方は横からみますと台形を逆さにして積み上げたようになっていますから、根元から毛先に向ってはスムーズにブラシできますが、その反対はキューティクルを剥がしたり傷をつける原因となります。
厚さはわずか1000分の1mm程度ですが、外側は親油性、内側は親水性の性質を持っているので保水性に優れています。

紫ボール構造的に見て
 8-1 毛皮質(コルテックス)は<ごはん状>ではありません。(^_^)
毛の長軸に沿って走る繊維の集まり(主鎖)が主で、1本の毛はこの繊維が10数万本集まってできています。
この繊維は下図にありますようにラセン状になっていますから、ひっぱるとかなり伸びます。
しかし、縦に走る繊維だけではキューティクルが痛めばバラバラになってしまいますから、この繊維どうしを止めている横のつながりがあってこれを結合と呼びます。この結合縮毛矯正やパーマに大切なものとなります。

紫ボール結合
 髪の細胞結合模型図 結合については縮毛矯正で触れますが、簡単に説明します。 右の水素結合は酸素と水素が引き合う力で結合していますから、その力は弱く水で切れてしまいます。寝癖に濡れたタオルを押し付けると直ることがこれにあたります。 塩結合というのはアミノ酸の中で酸性アミノ酸と塩基性アミノ酸といって1つのアミノ酸の分子中にカルボシル基やアミノ基をもったものがあります。カルボシル基を多くもったものは酸として働き、アミノ基を多くもったものは塩基と働きます。一番安定してるのが、等電点で酸やアルカリが強いとこの安定性が失われ、この性質も左のシスチン結合と共にパーマに利用されています。またペプチド結合は繊維の繋がりと同じで大変丈夫ですから切ることなんてできません。

Posted by koasa